作品
コットンキャンディ
『甘い、わからない』
ぽつりと聞こえてきたそれ、に気づいたのはその時に周りが静かだったからだ。慌ただしい雑事が終わって自室で一息ついた瞬間に密やかに耳に滑りこんできたそれは空耳と思うにはあまりにもはっきりした声で、言葉こそ鮮やかに聞こえたものの、声自体の印象がまるで残らない。
どういうことだと己の息もひそめてみれば、すぐに次の声も頭に響いた。
『とけた!』
純粋な感嘆には最初のひとことの途方に暮れたような様子はない。かといって喜びや悲しみが乗っているわけでもない。ただの事実を口にしたような声だった。近くの部屋から聞こえてくるのだろうかとも思うも、それにしては明瞭な聞こえ方をする。
ふと考えついて両手で耳を塞いでみたら、想像通りに声は直接頭の中へと響く。
『やっぱりとけた』
けれど、もう一度聞こえた声には既に感嘆もなく、ただ事実だけがそこにある静謐さをたたえていた。
「もうお互いの心の声が勝手に聞こえる設定にでもすれば!!!!!!(白海さんとこだと大惨事しか浮かばないな……」
https://twitter.com/ens_nm/status/606047668859604992
大惨事でもなくもない……ような。
これとおなじはなし
http://drd.cute.bz/log/gallery.cgi?mode=view&id=1431188812
- 2015/06/03 (水)
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