作品
next door
弟たちからの贈り物であるマフラーを何処かへ忘れてきてしまったのだと気づいたのは、積もった雪のおかげでか一段と冷え込んだ朝のことだった。昨日の朝にはちゃんと巻いて外にでたことは確かだ。思いの外ひどく降り始めた雪に大学が休講になり、それならと早い時間から友人たちと飲みに出て、席についたときに外した記憶もぼんやりと蘇ったがその後が全く思い出せない。暖かかった室内から外に出るときにマフラーをうっかりと忘れることは多く、それでは風邪をひくからとわざわざ弟たちが送ってくれたものだったのにこれでは全く意味がない。
血の引いた勢いで家を飛び出して、雪が残って交通が麻痺している中を駆けずり回っても見つからず、とぼとぼと帰宅したところで自宅のドアノブに巻きつけられているマフラーを見つけるのは夜をだいぶ回った頃のことで、更にはその恩人がいけ好かないと思っていた隣人でもあると知るのはさらにもっと先のこと。
いちあか+マフラーってお題箱でいただいたので。謎の現パロ
- 2018/01/25 (木)
- その他
タグ:[いちあか]