作品
スターゲイザー
見上げる空に星は今日も見えない。
昼は普通に青い空が広がるのに夜はただ黒く塗りつぶされるのは、この場所の天は塞がれているからだと審神者は言った。
もっと直截的にここは棺桶だと表現したのは鶴丸国永だった。まるで旧知の仲のように己を光坊と屈託なく呼ぶのとおなじ声色で、歌うように彼が理を断じるのを、審神者は止めなかったことを覚えている。
「みっちゃん」
「なあに、貞ちゃん」
あえて振り向かずに応えれば、かるい衝撃とともに後ろからしがみつかれた。
「馬鹿なこと、考えんなよ」
「しないよ、なにも」
天は俺たちなんぞ見てやしないと嘲笑った傍にいたのはいつの頃だったかもうぼんやりとしか思い出せない。
何もかもが遠くて、すべては幻のようだった。
「僕が逆らわないってわかってるのに、忘れろっていうのはひどいよね」
燭鶴ワンドロお題:塞ぐ/ポラリス
- 2019/03/10 (日)
- ワンドロ
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