作品
あしびきの夜のそのあと
せっかく起きていられるのに、とぶつぶついいながらも、布団をかけてその上から柔らかく叩いていたら、子供はすぐに眠りに落ちた。どれほど古馴染みが夜を持て余していても、子供の体は一日起きて動いていたのだから当然だろう。くたりと力を抜いて健やかに眠る顔はいまだ古馴染みに少しづつ近づいているはずだったが、気の抜けた顔であってもこれは南泉一文字がよく知る山姥切長義のものではなかった。古馴染みが表に出てきている時はどれほど似ていない顔であってもすぐにあいつだと分かるのにな、と息を吐く。こうして暮らすようになって初めて、人の顔が浮かべる表情の違いというものを思い知るようになった。
山姥切長義の魂がこの器に馴染み、人の子の魂が摩耗しきってしまうまでには、まだまだ時間がかかるのだと知っている。
面倒だとは思わない。なんだかんだありつつも最終的にはこの外法に同意したのは己だ。
それでも一人で過ごす夜は長く、早く朝が明ければいいのにと目を瞑った。
遠征先で遭難したので死ぬ予定の子供に乗り移って生き延びているちょうぎくんと、子供の保護者しているなんせんの話
- 2019/09/24 (火)
- その他
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