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君に逢いたくなったなら
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20101017
「昼の廃墟」で登場人物が「忘れてしまう」、「手紙」という単語を使ったお話
あたりに林立するしろい石はさわるとほろほろとたやすく崩れた。どこもかしこもひびが入り、何もかもが原形をとどめていないこの場所はまるで爆心地のようだと思う。青い空は目にまぶしいほどうつくしく映る。こんなにきれいなものだったのか、と考えて、その、己の思考に愕然とした。空が青いものだ、という知識はある。けれど、透き通るような美しさとそれに花を添えるような白い雲、その、どれもにときめき、ときめく自分に違和感を覚える。思わずあとしざった足元でかさりと何かが音を立てた。「……てが、み?」何かも字が書かれていたと思しき表面は砂で擦れたのかすっかりかすんでいて文字はすぐには読み取れなかった。「……for me……? forgotten?」しゃがみこんで拾い上げる直前に読み取れた文字にぎくりとして手を引いた。「あ――」反射的に頭のどこかが沸騰したように熱くなって、どこからか水滴がぽたり地面におちたのはしろい石に光が反射して容赦なく目に飛び込んだせいだ、と握り締めたこぶしで顔を覆った。
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