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201009
 
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20100922
「朝の病院」で登場人物が「決める」、「ハンバーガー」という単語を使ったお話
決めた、という朝の病院という場所に場違いなほど明るい声が響いて彼はそっと顔を顰めた。おとなしく寝台に横たわっていることが嫌いな少女がこう言い出すときにろくなことはない。そんなことないわと今にも飛び出していきそうな少女はほほを膨らませて布団にもぐりこむ。「今日はすごく晴れるんだって」「桜がそろそろ咲くらしいですね」「すごく脱走日和でしょ?」「……なにをすればいいんですか」「ハンバーガー買ってきて。二個ね。ポテトもつけてね」(でも結局食事制限に引っかかって彼が一人で食べる羽目に陥り彼女に恨まれるんだ、よ)
 
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20100927
「深夜の歩道橋」で登場人物が「振られる」、「氷」という単語を使ったお話
足元でしゃりしゃりと雪が解けて凍ったものが音を立てる。こんな車一台通らないような道なのになぜわざわざ律儀に歩道橋を上がっているのか己を振り返れば、そんな気分でもないのに笑いがこみ上げた。もうこの階段を二度と上がることもないのかと笑いながらこぼれた涙が頬に氷のように凍みた。
 
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20100928
「朝の廊下」で登場人物が「探す」、「手紙」という単語を使ったお話
 
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20100929
「夕方のベランダ」で登場人物が「さよならを言う」、「焼き芋」という単語を使ったお話
 
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20101006
「夕方のソファ」で登場人物が「さよならを言う」、「風」という単語を使ったお話
 
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20101014
「深夜の教室」で登場人物が「嫉妬する」、「罠」という単語を使ったお話
 
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20101015
「夜のコンビニ」で登場人物が「落ちる」、「水」という単語を使ったお話
ざあざあと暗闇に雨が降っている。ガラスに囲まれた明るい店内からのぞむ外はひどく遠くまるで異世界のようだと思う。軒下に佇む人影さえなければその空想はもっとたやすかっただろう。しかし濡れそぼった彼女はピンと背筋を伸ばしたままそこに立ち続け、俺も店員という現実から落ちることができない。
 
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20101016
「深夜の路地裏」で登場人物が「つよがる」、「指輪」という単語を使ったお話
 暗い路地で少女は膝を折って座り込んだ。忙しげに上下する背中をどうにかなだめて背後の壁に預けた。
 この道というのも憚られるような建物と建物の隙間は明らかに人が通ることを想定していない狭さなのに、無事に開くかも分からないようなドアがいくつも並んでいる。非常口という照明がところどころ点滅して何とか自分の役割を主張していた。
 握り締めた掌はいつの間にか硬くこわばっていて、震えが止まらない。皮膚に張り付いた赤い物が乾いてはらはらとスカートの上に落ちる。薬指にはまった宝石つきのリングも元の色が分からないぐらいに赤く汚れて輝きすら見えなくなっていた。
 頭上を見上げれば辛うじて瞬く星が見えて彼女はようやく安堵の息を漏らし、同時にそうして己の無事に胸をなでおろした自分を恥じた。
「――あたしは、助かった。だから……だからきっと大丈夫なんだから」
 
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20101017
「昼の廃墟」で登場人物が「忘れてしまう」、「手紙」という単語を使ったお話
あたりに林立するしろい石はさわるとほろほろとたやすく崩れた。どこもかしこもひびが入り、何もかもが原形をとどめていないこの場所はまるで爆心地のようだと思う。青い空は目にまぶしいほどうつくしく映る。こんなにきれいなものだったのか、と考えて、その、己の思考に愕然とした。空が青いものだ、という知識はある。けれど、透き通るような美しさとそれに花を添えるような白い雲、その、どれもにときめき、ときめく自分に違和感を覚える。思わずあとしざった足元でかさりと何かが音を立てた。「……てが、み?」何かも字が書かれていたと思しき表面は砂で擦れたのかすっかりかすんでいて文字はすぐには読み取れなかった。「……for me……? forgotten?」しゃがみこんで拾い上げる直前に読み取れた文字にぎくりとして手を引いた。「あ――」反射的に頭のどこかが沸騰したように熱くなって、どこからか水滴がぽたり地面におちたのはしろい石に光が反射して容赦なく目に飛び込んだせいだ、と握り締めたこぶしで顔を覆った。
 
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20101018
「夜の路地裏」で登場人物が「裏切る」、「風」という単語を使ったお話
早くおうちにおかえり、と無情にも閉められた裏口の前で少女は立ち尽くした。既にあたりは暗く、ろくな明かりのない裏路地は既に闇に沈んでいる。裏切られたのだとどうにか理解した瞬間、耳の奥でごうと風が吼えた。
 
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20101019
「夜の水族館」で登場人物が「自由になる」、「蜂蜜」という単語を使ったお話
 
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20101021
「昼の教室」で登場人物が「決める」、「手紙」という単語を使ったお話
 
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20101024
「昼の歩道橋」で登場人物が「泣き出す」、「手紙」という単語を使ったお話
 
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20101025
「夜のグラウンド」で登場人物が「抱きしめる」、「星座」という単語を使ったお話
夜のグラウンドからは星がよく見えた。観測に絶好の月のない夜は隣人の顔すらも闇に沈める。満天の空にはあまりにも星の数が多すぎて見知った星座さえその形がわからない。まるで自分がこの世界で独りになってしまったようだと、少女は隣に手を伸ばすことも忘れてただ己を抱きしめた。
 
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201011
 
> 201011 > 20101102
20101102
「深夜の廊下」で登場人物が「恋する」、「足音」という単語を使ったお話
 
> 201011 > 20101104
20101104
「早朝の歩道橋」で登場人物が「好きにされる」、「蜜柑」という単語を使ったお話
 
> 201011 > 20101108
20101108
「朝の部屋」で登場人物が「泣きじゃくる」、「裸」という単語を使ったお話
 
> 201011 > 20101109
20101109
「夕方の水族館」で登場人物が「見上げる」、「ビール」という単語を使ったお話
 
> 201011 > 20101121
20101121
「夜のソファ」で登場人物が「すれ違う」、「イルミネーション」という単語を使ったお話
 
> 201011 > 20101128
20101128
「朝のキッチン」で登場人物が「逃げる」、「雨」という単語を使ったお話
 
> 201203
201203
 
> 201203 > 20120322
20120322
「昼の書店」で登場人物が「なぐさめる」、「チョコレート」という単語を使ったお話
「あれ、また来たの?」
「失敗した」
「だからチョコレートはやめておけっていったじゃん」
「だって」
「そもそも溶かし直しっておいしくないんだし」
「だって」
「しかもなんでさっきと同じ本買おうとしてるの」
「……容器が溶けた……から」
「どうやって――いや、いい言わなくて。換気はしてきた?」
「うん」
「とりあえず今日はもうやめとけ。どうしてもっていうなら帰ったら作ってやるから」
「それじゃ意味が――」
「容器溶かして何言ってんの。手を出されるのがいやなら監督だけにしてやるから、とりあえず今日はもうおしまい。帰って台所掃除しておきなさい」
「……はーい」
 
> 201203 > 20120323
20120323
「早朝の公園」で登場人物が「髪を撫でる」、「跡」という単語を使ったお話
 
> 201203 > 20120324
20120324
「深夜の路地裏」で登場人物が「見上げる」、「猫」という単語を使ったお話
 
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201209
 
> 201209 > 20120908
20120908
「昼のベランダ」で登場人物が「ケンカをする」、「犬」という単語を使ったお話
 
> 201209 > 2012/09/13
2012/09/13
「深夜の図書館」で登場人物が「逃げる」、「誕生日」という単語を使ったお話
 
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